コロナ関連インタビュー

コロナ禍における不動産業・建設業【経営者インタビュー】

飲食、医療、観光の業界は、報道番組などでは毎日のように特集が組まれています。

ですが、不動産関連については「家賃補助」に関するもの、
建設業関連についてはコロナ前に発生している問題などが報道されている程度かもしれません。

しかし、この先コロナショックから日本経済が復活するには、不動産と建設は必ず何かしらの課題、新しい働き方が出てくるはずです。

そこで不動産業と建設業を経営されている経営者さまに、業界の現状の実態と今後をお聞きすることにしました。

今回インタビューにご協力いただいた経営者さま

昭和建設株式会社
代表取締役 古賀 直 様
サイト:http://www.showakensetsu.com/


コロナの影響は、良い面を考えるようにしています。

コロナウィルス感染拡大により、経営にどんな影響がありますか?

悪い面もありますが、当社では良かった面を中心に考えるようにしています。

その良い面を具体的にお伝えしますと、回りの経営者さんの考え方を色々と聞けるということです。

これまでにも、多くの経営者さんと話す機会はありましたが、コロナショックによりこれまでよりもより深い内容を決めるようになりました。

やはりフェードアウトしていく経営者さん、後ろ向きの考えの方もいますが、その中でも前向きで一緒にやっていこうという経営者仲間が増えました。

対外的なことだけでなく…

その他には、どんな影響がありましたか?

先程の話は、いわば外面的対外的な話です。
それに対して、内面的、社内的には次のようなことを話し合いました。

  • 業務改善
  • 経費の見直し
  • 交代制の勤務 などです。

これまでは、目の前の仕事に追われて、社員全員で話し合う時間はなかなか取れなかった。
ですが、コロナをきっかけにこういったことに時間を掛けて、全社員で考えることができました。
具体的な課題が見つかったので、その改善点を導き出して業務改善に活かしています。

業界特有なことについては?

不動産業界や建設業界特有の影響は、ありますか?

不動産業は、当社のケースでいえば大手の人事異動が中止となり転勤がなくなったことで売上は落ちました。要するに、人が動かないのでBtoC需要が減ったということです。

建設業については、BtoBの売上は、むしろ増加しています。

建設業と言えば…

公共事業の方は、どうなのでしょうか?

当社の公共事業の受注は減っています。
仕事自体(公共事業自体)の量が減っているわけではないのですが、進め方が遅くなっています。

例えば、三密の自粛で担当者が役所自体に出勤していないということです。
出勤していないので、工事関係の書類承認に極端に時間がかかる。それによって、工事自体が延び延びになっています。

工事の着工、施工の確認などの諸々の手続きに時間がかかり、現場での工事がなくても人を抱えていなければならないということになります。

このような悩みをお持ちの経営者は多いのではないでしょうか。

ビフォーコロナに戻る可能性は?

経済活動や御社の経営がコロナ前に戻る可能性はあると考えますか?

ビフォーコロナと完全に同じ状態には戻らないと思います。

それは、「コロナ前の景気に戻らない」といったネガティブなものではなく、働き方や仕事の進め方自体が変わっていくはずという考え方です。
先ほどお話しした当社の例のように、コロナショックを機に業務改善などや仕事のやり方を考え直した経営者さんは多いはずです。

その中で出てきた良い面を継続していくはずです。

業界でもIT化は進むはずです。

何か具体的な変化について、教えてください。

やはり、世の中の仕事のやり方は、IT化・オンライン・リモートに急速にシフトしていくと思います。

例えば不動産業でいうと、

  • 候補物件はサイトで検索
  • リモートで内見して
  • 契約関係もIT
  • 契約完了後に鍵が郵送される
  • 一度も対面で会わずに入居

のようなスタイルになっていくかもしれません。

実際に大家と店子を直接つなぐサイトはあるし、そういった流れは加速していくはずで、それについて行けない古いタイプの業者や大家さんは、淘汰されていくかもしれません。

不動産は変わるのか?

不動産のモノ自体に何か変化は起きるでしょうか?

世の中の仕事の流れは、今後もリモートワークにシフトしていくはずです。つまり、会社に通わなくなってくるということです。

社員が出勤しなければ、都心部にオフィスが集中する必要はない。
社員の方もオフィスの近くに住む必要がなくなる。

これによりどういうことが起きるかというと、これまでの「〇〇まで△△線で30分」というような需要が減ってくるということです。

もっと簡単に言うと、都心に近いから不動産価格が高いというこれまでの常識が崩れてくる。

将来的には、不動産価格は都心からの距離ではない条件で均一化してくると思います。

例えば、都心からの郷里でなくて回りのインフラがどれくらい充実しているかなどで。

雇用の課題は?

多くの業界では、従業員やスタッフの課題を抱えていますが、御社ではいかがでしょうか?

コロナによっての人の課題、例えばコロナをきっかけに人手不足になったということは、業界ではないでしょう。

むしろ、建設業界(とくに解体業や鉄筋業)では慢性的に人手不足といえますので。

コロナに関係なく、正直なところこの業界は一番最初に選ばれる仕事ではないので、どうしたら一番最初に仕事として選んでもらえるかを考えなければなりません。

選んでもらうために必要なこととは?

選んでもらうためには、賃金なのでしょうか?

たしかに賃金のそうですが、私はそうは考えません。

なぜなら、賃金が入ってきた人は他に高い賃金のところがあれば、すぐに移ってしまう。

要するに定着しないので、慢性的な人手不足の悩みは解消されない。

では、賃金以外で選ばれるようにするために何が必要かというと、
それは「社長のビジョンや志」だと考えています。

例えば解体業ですと、どうしてもモノを壊すというイメージになってしまいます。

今あるものが古くなったから、壊して終わり。最後の仕事みたいな感じです。

そうではなくて、新しいモノを作るために壊す。何か新しいモノを作るための最初の仕事ということを伝えるということです。

経営者さまとの交流で大事にしていること…

同業種だけでなく異業種の経営者さまとの情報交換や交流は必要だと考えますか?

はい。私はコロナショック以前から元々、同業種だけでなく異業種の企業も含めて、地域で仕事をしていきたいと考えています。

また、地域で仕事をしていくうえで、紹介で仕事をいただくことに価値を感じています。

お客様がお客様を紹介してくれると、質の良い見込み客を紹介していただけます。

先程の従業員募集のお金で来た人はお金で去るとおなじように、サイトを見て来た人は良い情報があればすぐに他に行ってしまう。

けれども、人の紹介であれば、そういうことはほとんどありません。

紹介をいただくためには信頼関係を作ることが大事ですので、全社員にそれを伝えています。

 

有難うございました。

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