コロナ関連インタビュー

ウィズコロナでのペットとの付き合い方【経営者インタビュー】

2020年6月24日

先日、新聞で「新型コロナによるペット需要拡大」に関する記事を見ました。
末尾に記事内容は載せておきますが、ポイントだけを先にお伝えしておきます。

  • 新型コロナによる「巣ごもり生活」の影響で、ペット需要が拡大している。
  • が、新型コロナが収束した後、外出時間が増えてペットの世話がおろそかになる。
  • 購入は慎重に。

この記事をみて、内容の信ぴょう性は?実際の現場では?動物病院の患者さんも増えているのでは?など、他にも聞いてみたいことが出てきたので、インタビューをしてみました。

今回インタビューにご協力いただいた経営者さま


こうご動物病院(東京都多摩市) 
院長 向後亜希 先生


下記記事のように、新型コロナの影響でペットの需要が多いと聞いています。
それに伴いまして、いくつかの疑問点があるのでお教えいただければ幸いです。

本当にそうか

新聞の記事を疑っているわけではないのですが、本当にそうなっている(ペット需要は増えている)という実感はありますでしょうか?

ペットショップで販売している子がどんどん売れていくので、値段が上がっているという話は聞きます。当院でも新規の子犬、子猫の患者さんは来ますが、従来よりも増えているかと言われていると、特に目立ってそこまで感じることはないです。

保護団体の譲渡活動に加わっているスタッフもいますが、欲しがっている人は多いと聞きました。

その場合に、購入者は初ペット?

記事のとおりペット需要が増えている場合に、購入者は初のペット購入でしょうか?
あるいは、増やしての購入のどちらが多いという実感がありますでしょうか?

データがないのでわかりませんが、巣ごもりで癒しを求めるというところからペットを飼い始めているのだとすると、初めてのペットなのではないでしょうか。

初ペット購入が多い場合

言い方は失礼ですが、いわゆるペット素人が増えている場合には、病気などのトラブルで先生のところの患者さんは増えているという実感はございますか?

その可能性はあると思いますが、当院では特にそうい傾向はありません。

注意点やアドバイスは?

コロナの影響によるペット購入の場合、準備に準備を重ねて、検討に検討を重ねてよりも気軽にと思われます。
もちろん、それ自体が良いとか悪いとかを申し上げるつもりはないのですが、先生の立場から何か注意点やアドバイスはありますでしょうか?

ペットを飼うということは、そのペットの一生をしっかり見るということです。当たり前ですが、ペットの方が寿命は短く、人と同様に病気になることもあるし、死を看取らねばなりません。
特に大型犬の方が飼育、治療費も高くなりますし、介護になった時の肉体的な負担も大きいです。
しっかり、そういうことも考えた上で購入してもらいたく思います。

人→ペット、ペット→ペット、ペット→人の感染は?

そもそも的に、新型コロナウィルスのペット感染はあるのでしょうか?(事例として)
ペット感染がある場合、人間同様に爆発的な感染拡大は起こっているのでしょうか?
人→ペット、ペット→ペット、ペット→人の感染が考えられる場合、日常生活で気を付ける具体的なことはありますでしょうか?

海外においてペットでの感染例もありますが少ないです。人のような爆発的な感染拡大はありません。
一番大切なことは、飼い主自身が感染しないことです。
万が一感染してしまった場合、ペットへの感染を防ぐために、ペットを預かってくれる施設もあります。ペット保険のアニコムさんがやっている施設などです。
アニコム保険に入っていなくてもペットの預かりサービスは受けられ、無償のようです。

狂犬予防やワクチン接種について

日本では数十年前に狂犬病は撲滅したとされていると記憶しています。
しかし、その安心感からか、年々、狂犬病の予防接種をしない飼い主が増加していると聞いています。
今回のコロナの影響(外出自粛や経済的理由等)で更に増えている(予防接種を受けない)ということは起きていますでしょうか?

そのような現象が起きている場合、日本国内での狂犬病感染が発生するリスクはどの程度あるのでしょうか?
また、狂犬病以外の基本的なワクチン接種やフィラリアの予防などにおいても、コロナの影響で受診しない飼い主が増えていることは起きていますでしょうか?

外出自粛期間にはあえて動物病院側でも予防接種などはコロナが落ち着いてから来院してくださいとだいたいどこの動物病院でもアナウンスしていたので、自粛期間中は例年に比べると予防接種での来院は少なかったですが、自粛期間があけてからは例年通りに狂犬病注射には来院されていると思います。

狂犬病以外の予防注射も自粛期間が明けてから来院して今年は予防されている方が多いです。ただし、今回の自粛により観光業や飲食業などに携わる人たちが失業したりなど経済的な影響は出ていると思われるので、今後、そういった方々が今まで通りに予防をしないことや、高額になる医療費は払えず、ペットへの医療にかけるお金がなくて治療を諦めるなどのケースも出てくるのではないかと思います。

業界全体についてのアドバイス

ペット産業全体(例:ペットショップ、トリミングショップ、ペットホテル、ブリーダー)に対して、先生の立場からのアドバイスはございますか?

コロナ対策はどこでもやっているかと思うので、特にアドバイスはありません。

クリニックでの対策

ちなみに、先生のクリニックでは、感染防止のためにどんな対策をされていますでしょうか?

待合室の3密防止のために、完全予約制にしました。
駐車場などで待ってもらったりもしています(順番になったら携帯に連絡して診察室にお通しする)

スタッフのマスク着用、患者さんへもマスク着用をお願いしています。
(その他に、受付に飛沫防止のシートの設置、来院せずに薬などの郵送など)

『オンライン診療』をつい最近、スタートしました。
動物病院としてはやっているところもまだまだとても少ないです。

オンライン診療ページ https://peraichi.com/landing_pages/view/a5qnz

その他、何かございますか?

動物病院はこれからさらに2極化を迎えるとも言われています。
流行っている病院はどんどん流行って患者さんも来るが、ダメな病院は患者さんが来なくて閉院するということです。
コロナがなかった時代には戻れないと思うので、これからウイズコロナとして世間同様、動物病院も変わっていくところが生き残っていくと私は思っています。

有難うございました。

2020/06/13日経記事より

新型コロナウィルスの感染拡大に伴う「巣ごもり生活」の影響で、ペット需要が拡大している。ペットショップでは売り上げが前年を上回るケースが相次いでいるほか、あるペット用品の通販サイトでは飼い始めに購入することが多い犬用ケージの5月の売上高が前年同月の3倍に急増した。外でのレジャーが楽しめずペットに喜びを求める人が増えているようだ。

「旅行にも行けないので、家でペットを飼おうかと見に来た」。6月上旬。大阪市の店舗を訪れた40代女性は、小型犬の棚を娘と熱心にのぞき込んでいた。

小型犬専門のペットショップのプードルドットミー(堺市)は4~5月の売上高が前年同期比で1割以上増えた。全国展開するあるペットショップでは4~5月の売上高が5割増えた。

パワープランニング(大阪市)が運営するペット用品の通販サイト「モコペット」では、犬用ケージの売り上げが4月に前年同月の約2倍、5月は約3倍に増えた。

ペット保険最大手アニコムホールディングスの亀井達彦常務執行役員は「ペット需要は震災など危機的状況で伸びることがある。新型コロナで他者との距離が離れ、動物との『つながり』を求める人もいるだろう」と指摘する。

一方で新型コロナが収束すれば再び外出時間が増え、ペットの世話がおろそかになる懸念もある。ブリーダーと飼い主のマッチングを手掛けるパスレルワン(大阪市)の金井亮店長は「飼い始めるとペット中心の生活になる。購入は長期的な目線で慎重に考えてほしい」と訴える。

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