コロナ関連インタビュー

製造業のウィズコロナでやることと乗り切り方【経営者インタビュー】

2020年7月9日

TVや新聞の報道では、毎日のように飲食店のコロナ影響が特集されています。
大型スーパーや百貨店、ショップなどの販売業のコロナ禍の経営難の記事をよく見かけます。

ここでふと思ったのは「そこに商品を供給する製造業はどうなんだろう?」ということです。

そこで、製造業を中心に営業・販路拡大コンサルをされている専門家に実情などをお聞きすることにしました。

今回インタビューにご協力いただいた経営者さま

ZACCESS Consulting株式会社
(ザクセスコンサルティング)
代表取締役 鬼頭 秀彰 様
サイト:https://zaccess.jp/


中小企業製造業の現在の実態は?

コロナショック後、中小企業製造業の経営の実態はどうなっているか、ご回答いただける範囲で結構ですのでお教えいただけませんでしょうか?

製造業としてひとくくりにするのは難しいですが、医療系以外の製造業は概ね経営悪化していると思います。(実際に売上70%ダウという企業もあります)

経営が悪化している企業の再起再建の目途は?

製造業企業の経営が悪化している企業が、いわゆるビフォーコロナの経営状態に戻るのには、どれくらいの期間を要するとお考えですか?
また、コロナ前に完全に戻る可能性はありますか?

3-5月はコロナショックによる売上ダウン。緊急事態宣言解除により、これから各企業の再建再起が始まると思います。
むしろ、この後の方が大きな動きや変化が起きるのではないでしょうか。

例えば、最近では他都道府県に移動がOKになってきていて、面談や商談が可能になってきています。そこでどういう動きになるのか、例えば発注が元に戻りそうなのかなどの動向を見守る必要があると思います。

ただし、コロナショック前と完全に同じ経営状態には戻らないことも覚悟しないといけないかもしれません。

固定費削減による御社と取引は?

立ち入った質問で申し訳ありません。
士業業界でも、経営悪化 → 固定費削減 → 顧問契約一旦終了などが発生しているようですが、御社ではいかがでしょうか?

幸いにして、今のところ契約の解除申し入れはありません。
むしろ、このタイミングで営業のやり方を見直したいという経営者様の方が多いかもしれません。
これを機会に改善策や経営そのものを見直している前向きな経営者様が多いという印象です。

前と同じ経営方法で良いのか?

政府の新型コロナ完全収束宣言が出されたとします。そうなった際に、コロナ前の経営のやり方と同じでいいと考えますか?あるいは、違った経営手法も取り入れていくべきだと考えますか?

経営自体は経営者様の判断なので、一概には同じで良いとか変えた方が良いとかは言い切れません。
ただし、オンラインの営業が増えてきているなど、これまでとは業界全体が大きく変化していくことは間違えないと思います。
以下、具体例をふまえていくつかお話しします。

コロナ禍ではリアルな営業活動、面談商談が難しいの中で、こんな事例があります。

  1. HPなどの見直し
    製造業の会社のHPですが、いわゆる企業サイト(コーポレートサイト)が多いです。
    この機会にHP経由で受注に繋げられないか、とりあえず作っているだけでなく有効活用しようとしている企業が増えてきています。
  2. オンライン商談
    今日の話題にも何回か挙がっていますが、ZOOMなどのオンラインでの会議、面談や商談が増えてきています。
    当初はオンライン会議を嫌がるかなと思っていましたが、逆に良い面の方が多いようです。
    これまでのリアル面談だと、営業マンだけがクライアント訪問。相手企業も担当者だけが出席というケースが多いようでした。
    技術者は現場やラインをあける時間がないなどの理由で、面談に同席できなかったようです。遠くまでの移動時間などもありますので。
    それが、オンライン面談・ミーティングだとそれぞれの企業が現場担当者や技術者の参加も可能になり、現場レベルでのすり合わせ、打ち合わせが具体的に進められるようになっているようです。
  3. 課題の本質が見えた
    テレワークで会社の問題点の本質が見えたという実例です。
    10名程度のセールス社員の企業。コロナ以降在宅勤務になり4、5月の営業成績が落ちました。経営陣が「本当にコロナの影響か?」と業務内容や業務体系などを見直したようです。
    コロナ前は出勤前提の勤務体系。上司も部下が出勤することで管理できていた(管理できていたような気がしていた)と気付き、テレワークを見直しました。
    すると、毎日のルーティーンワーク(例:テレアポ)の進捗管理ができていないことが判明し改善。
    6月以降は営業成績が著しく回復したとのことです。

WITHコロナで何をすればいい?

現状のWITHコロナを乗り切るために具体的にはどんな活動をするべきだとお考えでしょうか?
製造業向けの一般的な意見で結構です。

先程の在宅勤務で問題点の本質が見つかった例のように、営業スタイルや経営体質をこれまでと少しづつ変化させながら、その中で、これまでの経営上の課題を見直す機会としてみてはどうでしょうか。

業界同士の連携は?

製造業の中での同業種や異業種の連携など、コロナショックを機に業界の再編などの動きはありますでしょうか?

今のところ、中小企業製造業同士でその手の話は聞いていません。

モノ余り

農業では生産物が余っていると聞いています。捨ててしまうのは勿体ないので、格安や無料で飲食店などに提供しているとも聞いています。
同じように、製造業でモノ余りとなっているようなことはありますでしょうか?
(野菜などは勝手に育ってしまうので、製造業とは一概に同じとは言えませんが。)

農産業と違って、製造業では注文がないと作らないので、そういった話はないと思います。
無駄に作る(自動で作ってしまう)ということはなく、生産調整しているはずです。

その他に

以上の他に、「こうしたら良い」「製造業はこんなことが困っている」などのアドバイス、中小企業製造業の経営現場で抱えている課題や悩み、この先に起こりそうなことがありましたら、教えてください。

リーマンショックのとき、製造業は景気の回復が見え始めたところで倒産が相次いだはずです。
これは、「これからモノを作り始めなければならない」という時期に資金繰りが上手くいかなかったことによります。
→そこまで経営が悪化しているから、売上が立っていない(お金がない)
→景気回復し始めたことで、公的資金の援助がなくなっている(借りられない)
製造業経営者は、そこまでを見据えて準備をしておくことが大事だと思います。

また販売業の方も、「さあこれから販売していくぞという」時期に、メーカーが経営難に陥っている可能性(悪く言うと倒産してしまう可能性)も頭のどこかに置いておいた方が良いかもしれません。

 

有難うございました。

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