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悪質“ファクタリング” 高額手数料を請求 相談急増

2020年4月9日

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、中小企業の資金繰りが厳しくなる中、取引先への売掛債権を現金化して当座の運転資金を調達する、「ファクタリング」と呼ばれる金融サービスを利用する企業が急増しています。しかし、ファクタリング業者の中には、年利に換算すると数百%にあたる高額の手数料を請求するところもあり、専門家は「法のグレーゾーンの中で実質的にはヤミ金融と変わらない悪質な業者も多く、国が適正な運営指針を示す必要がある」と指摘しています。
「ファクタリング」は、中小企業などが取引先から代金を受け取る権利=売掛債権を業者に譲渡する代わりに、債権の額面から手数料を差し引いた現金を早く受け取ることができる金融サービスです。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、中小企業の資金繰りが厳しくなる中、新たにファクタリングのサービスを始める金融会社が増えていて、このうち東京 港区の大手信用保証会社には、先月のサービス開始から当座の運転資金を求める申し込みが殺到し、この1か月間の申込件数はおよそ80件に上っているということです。

一方、ファクタリングは契約上、「債権の譲渡」で金銭の貸し借りにはあたらないため、原則として貸金業法や利息制限法などの規制の対象になっていません。

このため貸金業などの登録がなくても参入でき、SNS上には「売掛金を即日現金化」などと勧誘する業者の投稿が相次いでいます。

しかし、年利に換算すると法律の上限を大きく超える数百%にあたる高額な手数料を請求する業者も多く、都内の弁護士事務所には先月中旬以降、30件以上の相談が寄せられているということです。

ファクタリングの問題に詳しい井上裕貴弁護士は「法のグレーゾーンの中で、実質的にはヤミ金融と変わらない非常に高い手数料を取っている悪質な業者も多いが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、こうした業者に頼らざるをえない企業が増えている。国はファクタリング業者の適正な運営指針を示す必要がある」と指摘しています。

ファクタリングの仕組み

中小企業が取引先に商品を納入してから、実際に代金の支払いを受けるまでには時間差があるため、売掛債権をファクタリング業者に譲渡することで、企業側は通常より早く当座の運転資金を手にすることができる仕組みです。

一方、ファクタリング業者は、取引先から売掛債権の代金を回収すれば、中小企業側から差し引いた手数料分が利益になります。

しかし、売掛債権を譲渡したことが取引先などに知られると企業の信用に関わるとして、本来、ファクタリング業者が行うはずの債権回収を中小企業側が代行し、実際には業者側と企業側だけで資金をやり取りする「2者間ファクタリング」と呼ばれる方法も広がっています。

業者の中には、年利に換算すると法律の上限を大きく超える、数百%にあたる高額な手数料を請求するケースも相次いでいますが、ファクタリングは契約上、「債権の譲渡」で金銭の貸し借りにはあたらないため、原則として貸金業法や利息制限法などの規制の対象になっていません。

ファクタリングを利用する中小企業が急増していることについて、金融業者でつくる全国事業者金融協会の高木秀男副会長は「政府の緊急対応策である保証付きの融資が実際に実行されるまでには、申し込んでから2か月くらいかかるため、すぐに当座の資金を確保しなければ中小企業の資金繰りは持たない状況になっている」と話しています。

また、「2者間ファクタリングは実質的には売掛債権を担保にした高利な貸し付けでヤミ金融と変わらないが、ファクタリングには法律の規制がなく、元ヤミ金業者が大手をふるって商売できる状況になっている」と指摘しています。

(引用:NHK NEWS WEB)

ココがポイント

当たり前の話ですが、こんな時期だからとはいえ、悪質なヤミ金やファクタリングから資金を調達することは絶対にやめましょう。
まずは、自治体の窓口や、官民金融機関の相談窓口で資金繰りの相談をしてください。
仮にファクタリングを利用するしか道がない場合でも、民間の税理士さんに相談してみてください。

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