コロナ関連コラム

【経営再起コラム・飲食店編-④】「第二の矢」を考え始める

2020年6月8日

前回のコラムでは、『「客単価」×「客数」から抜け出す』という話をお伝えしました。
今一度、ポイントだけを整理しますと、

  • 「客単価を上げる」「客数を増やす」という考え方を深追いするのは、危険かもしれない。
  • 理由は、新型コロナで給与が減って消費を控えていたり、遠のいている客足を元に戻すのは時間がかかるかもしれないから。
  • そこで、今後は「第二の矢」「第三の矢」も考えた方がいいかもしれない。

という内容でした。

今回は、それを少し掘り下げていきたいと思います。

先にお断りしておきます。

弊社はこれまでに何人もの飲食店経営者さまとお話をさせていただいています。
その方々のほぼ100%が「おいしいものを食べてほしい」「楽しい時間を過ごしてほしい」のどちらか(あるいは両方)に当てはまります。

そんな思いを持って経営されていますので、これから話すような、
ちょっとその本質から外れているようなことを話すと、
70%以上(10人のうち7人以上です)の方は、
「そんなことをやりたくて店を始めたわけじゃない」と
怒られたり、耳を傾けなかったりします。

もちろん、そのポリシーや想いは大事なのですが、こと今回のコロナ禍ではとにかく生き残ることが必要かもしれません。

「再起してから本来ご自分がやりたいことに戻ればいい」というように現状を捉えられる方だけ読み進めていただければと思います。

ホテル業界と似ているところがある。

私が会社勤め時代、その会社の事業の一つにホテル事業がありました。
毎月末の営業発表ではこういう感じで発表されていました。
「Aホテル、客室稼働率95%で客室単価10,000円でした。」
いまでこそ、もっと細かい分析でしょうが、20年ほど前はどこのビジネスホテルもそんな感じだったと思います。

営業発表では、こんな風に続きます。
「稼働率を98%にあげて、客室単価を500円アップするように努力します。」

この考え方、飲食店業に似ていませんか?

もちろん、上の例のような少しのアップに努力することは大事です。
なのですが、これだけを追及すると限界があります。

  • 一般的なホテルは、一つの客室は1泊しかできない。
    つまり、どんなに客室稼働率をアップさせても100%を超えない。
  • 大幅なリニューアルでもしない限り、客室単価を上げることはできない。つまり、1泊1万円のビジネスホテルで2万円にアップさせるのはかなり難しい。

反論されると思います。

上のホテルの例を読むと、こんな反論があると思います。

  • 飲食店では、オペレーションを早くすることで稼働率を上げることができる。
    >10%アップ
  • 客単価を少しくらいなら上げることができる。
    >10%アップ
  • これを両方やれば、結果的に1.2倍になる。
    >1.1倍×1.1倍
  • つまり、『「客単価」×「客数」から抜け出す』という話でなくて、
    そこにこだわってもいいんじゃないか?

この反論、結論からいいますとその通りです。

ですが、実際問題として、これまでと同じやり方で稼働率(回転数)をあげること、
客単価アップのために値上げすると客数が減るかもしれないこと、
そういった悩みが出てくると思います。

これまでと同じやり方で客数や客単価を上げるのは難しい、つまりは根本的なところを考え直すべきではないかということです。

分かりにくいので、まとめてみます。コロナ禍においては…

  • これまでの経営手法(集客方法や提供する商品やサービス内容)は、この後も活用していく
  • が、それは手法や方法だけであると捉えておく
  • 手法や方法は変えないで、経営の軸となる根本的なところを、この機会に考え直してみる
  • 実行するかどうかはその後の話で、考え自体は大胆にガラッと変えてみることを前提に

といった変化が必要ではないでしょうか。

それを考えた次に「すぐに」「お金をあまりかけないで」進められることから始めることをお勧めします。

いくつか例をあげてみます。

  • お店の中身(料理、金額、コンセプトなども)を何も変えないで、これまでどおりにポスティングやサイトからの集客では難しいのでは?
  • これまでのやり方では、稼働率100%を超えられないビジネスホテルは、デイユースで100%を超えるアイデアに。
  • 同じ食材や料理、提供方法やサービス内容を変えないままで、コロナ禍で料金をアップさせるのは難しい?
  • 宿泊のお客様、ホテルで残業した後に軽く一杯飲めるつまみとアルコールを提供。次の日の朝食も。
  • 来店時の回転率を上げるのは後回しで、まずは来てすぐ帰るような発想はないか?

次回は「ガラッと変える発想の仕方」をお伝えしたいと思います。

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